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飾りつけの担当は「セカンド」
ヘルパー技術はもちろん、知識も豊富。
仕事以外で必要のない会話は一切話さないという
一匹狼スタイル。

そんな彼女は何故か「クリスマスの飾り付け」という
役割に任命されていた。

「…。とりあえず倉庫から持ってきたからさ。各自で飾り付けお願いね。」
現場の職員にセカンドが指示を出す。

「はーい」 「りょーかい」 「うっす…」
作業的な返事が大半のなか、ガーディアンがある
提案をする。

「クリスマスツリーの飾り、見たところ去年と
全く一緒…。ここ数年買い換えてないもんねぇ。
BOSSに相談して購入できないの?セカンド? 」

「去年のクリスマスシーズンに入院してた患者は
今はもう誰1人いない。だから同じでいいと思う」

セカンドは冷静に答える。
確かにそうだ…。よく見たら去年いた患者さんは
ほとんど退院している。中にはここで旅立った人も…

あまりにクールすぎるその思考があったからこそ、
副リーダーになれたのも間違いない。

「それってどういう意味?
思っても口に出しちゃいけない事だってあるよね?」

ガーディアンは皆が振り返る位の声を上げる。
うん。社畜も若干それは思った。

「でも事実でしょ。今の患者さんからしたら全く
新しい飾り。変な話、職員の中でも毎年新しい
飾りと思って準備してる人もいるかもね」

セカンドはチラッと武道のことを見る。

武道はラッパーと飾りの玉でキャッチボールを
していた…。

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