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春の生パン祭り②

これは「かえで」が退職をしてから間もない頃のお話


「ない!! 私の分のお弁当がない!」

肉付き(42)が医務室で突然騒ぎ出す……。

今日は地域交流イベントの「市民フィスティバル」が開催される日だ。(幻の演奏会とは別年です)
地域のお弁当屋さんが感謝の気持ちを込めて、病院の職員へお昼ご飯を届けてくれる。
とても美味しくほっかほっかしているお弁当だ。

「だからっ! 私のお弁当がないの!」
肉付きが再度現状を大声で復唱する。

「てっきり持ってたのかと。
喫煙所で食べてるのかなぁ…と思って。
でもちゃんと数は合ってるはず。私が確認したもん」

そう答えるのはメガネ(44)
すでに退職している職員だが、スレンダーや肉付きの先輩にあたる人物。
(肉付きは当時喫煙者。今は健康診断の結果が最悪で禁煙しています)

「喫煙所で食べるぅ? んなわけっ…。とにかく!
どうにかならないの??」
半ギレの肉付きが医務室の周りを見渡す。

メガネをはじめ、社畜、スレンダーなどの看護師達は手元にある自分が確保したお弁当を見つめる。

「…………」
それぞれのお弁当を持つ手にみんな力が入る。

「……じゃんけん…する?」

肉付きが驚くべき提案をした。

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