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事件は医務室で起きてるんだ③

「オーイ…セーリサァン」
社畜は小声でせーりを呼ぶ。

彼女は社畜以上に社畜である。
22歳という若さで「キャプテン」という名ばかりの役職に任命され、いつも書類せーりに追われている。
いつも帰りが遅くて遊ぶ暇もないだろうに…。
ムダ毛処理とかする時間も惜しいんだろうな…。
そう思ったが陰毛の形を整える位の時間はある様だ。
HENTAIになると大体の職員の陰毛は頭の中にinputされている。

「え? あ、はーい」
せーりが気づいて近寄ってくる。
窓越しだから多少の声のボリューム位じゃ気づかれないだろう…。

「人影…。ほら…。」
社畜はせーりに、はじめましておじさんを紹介する。

「……!! まだ来ないんですか警察は…。」
せーりのおっかなびっくりの顔は興奮する。
しかも君の陰毛の形も味海苔と知ってるから尚興奮。

その病室は空き部屋なので万が一、窓から侵入されたとしてもすぐには被害は出ない。
なので少し余裕を持っておじさんの観察をしているのだが…。とにかくスマホを弄ること弄ること。

「人殺し…とかではなさそうですね」
うん。社畜も同じこと考えてた。いや嘘。
君の脱糞シーンを振り返ってた。いや少し嘘。

この部屋、かえでとイケメン君が合体した部屋やん…
センチメンタル~

「ちょ…何してるんですか!? 皆1箇所に集まっ…」
バリカンが回想中に割り込んできた。そうか…。
かえで達もこんなふうにこの女に邪魔されたんだ…。

切ない表情でバリカンを見つめる社畜。
しかしバリカンは窓の奥のおじさんを見つめている。

「あ…。あ…。 あーー!!!!」
バリカンが悲鳴をあげながらその場を去る。

なんてことをしてくれたんだバリカン…。
窓を振り返るともうそこにおじさんはいない…。
あれだけの大声を聞けば当たり前か…。
刺激になってなければいいが…。
もしおじさんがレ〇プ魔だったら、迷わずバリカン。
お前を差し出すからな…。

「リーダーって頼りなさすぎ。すぐボロが出るし。」
せーりがボソッとバリカンの愚痴を吐く。
同感。同感。さっすが味海苔せーり様。

「キャプテン……今なんて言いました?」

酸っぱい香りが鼻を刺激した。



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