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「初めての子ども参観」⑦

《みんなお疲れ様》

BOSSが職員室で市民フィスティバルの労いの言葉をみんなに送る。
場所が場所なのでジュースで乾杯でござる。
「天使ちゃん、ほんとに天使〜」
「『おかー』とか超可愛いっす!」
「副リーダーもっと笑って笑って!」
セカンドは皆から大人気であった。

「え…あは、あはは」
うん…ちょっとその苦笑いは気持ち悪いかな…。
でも大分丸くなったと思うよセカンド。腹は元から…

「あ、あのセカンド…さん?」
リーダーのバリカンが珍しく自分から声をかける。
「こ…困ったら、いつでも相談してくださいね?
ここにいる全員、セカンドさんの味方だから…」
お前何様だよ…。

「う、うん…。りょ、りょーかい」
しかしそんなムカつく声掛けにも大人の対応でスルーするセカンド。今回の一件で大分進化したみたいだ。


「良かった。もうこれからずっと大丈夫だよね…」


ガーディアン? 今なんて…?

《あ、皆聞いて。
ガーディアンなんだけど来月からアナザー社畜病院へ異動になるから。残念だけど。上からの命令だから》

え…異動…。 しかも来月って…。

「明日じゃないですか!!」
カントリーが大声で叫ぶ。よく言った。

場がザワつく…
何よりセカンドがやばい。絶望している。

「せんぱぁい!せんぱい。何か言ってくださいよぉ」
セカンドの肩を掴んでグワングワンするカントリー。
やめておけ…。首が取れるぞ…。

「……昨日だったの!」
ガーディアンが声を張り上げる。

「昨日だったの…。その異動命令が出たのは…。
だからBOSSも悪くないし、仕方のないこと…。
でもそんな距離が離れているわけでもないし…。
会おうと思えば、すぐ…会…え…ンッ」

途中で涙腺が崩壊してしまうガーディアン。
分かる。実際ほんとに駅2つ分位の距離だけど…。
一緒に働けないという事実がきついよね…。

しかも今日の市民フィスティバルではそんな辛い心境なのに何一つ表に出さなかった。いつも通り、普段と同じ、保護者ガーディアンとして過ごしていたのだ。

そう思うと社畜もこみ上げてくるものがある。
今回は珍しく股間ではなく、自身の目ん玉からだ…。

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