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「初めての子ども参観」⑧

翌日、抜け殻のようになったセカンドが食堂にいた。

パクパク。パクパク。
1人で黙々とランチをするセカンド。
元気がないと思いきや、米は相変わらずてんこ盛り。

「せーんぱい? せんぱい?せんぱいぱいぱい!!」
カントリーがいつも通りふざけながら登場。
今回は箸でセカンドの背中をつんつんする。

『もう!行儀悪すぎだって!カントリ〜』

そんなガーディアンの声が聞こえてきそうな気がした

でももうここにはガーディアンはいない。
この事実は変えられない。

「せんぱい…。ほんとに大丈夫ですか…」
カントリーが無反応なセカンドを本気で心配する。

それに気づいてハッとしたセカンド
「…うん。ありがと。まぁ何とか…」
頑張って作り笑いすることで精一杯。
そんなふうに見えた。

「せんぱい……」
自分は無力だ、そんな表情をするカントリー。

そんなどうしようも無い雰囲気だが、周りの他の職員はお構い無しにいつも通りだ。
それもそうか…。ガーディアンと特別接点がある人物なんて限られてる。
それが逆に救われるような気がした。
今はただ、セカンドをそっとしておく。
それが一番の解決法なのかもしれない…。

…セカンド…。オイ !セカンド!
何やら声が聞こえる。
食堂の扉からニョキっと手が伸びて、こっちに手招きをしている…。

「…はーい?」
その手に釣られて扉へ向かうカントリー

「お前じゃねぇよ!!!」

扉が勢いよくガラッと開く。
そこにいたのはチェルシーだった。


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