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「初めての子ども参観」⑩

うぇー…。
親御さんめっちゃ家庭内事情話すやん…。

「『昔はもっとしっかりした優しい子』だったって。その元夫に何をされたかは聞かなかったけどさ。
でもその一件があってから大分キレやすくなったって言ってた。まぁひとそれぞれ苦労はあるけどさ、力では何も解決できないよ」

「…グスッ…ッ」まだセカンドは泣いている。

「でもなんでこんな初めましての赤の他人にそんなこと話しちゃうのかって気になったんだけどさ。
びっくり仰天。
私のこと『ガーディアン』と勘違いしてたらしいよ。まあお酒入っていたしね、無理もない。無理もない。
あんたさ、よく家で仕事の話を楽しそうに話すらしいじゃん。
『副リーダーに無理矢理されたこと』
『面白い後輩が出来たこと』
『職場が楽しいってこと』もちろん
『ガーディアンっていう最高な仲間がいること』
みんな全部話してたんだねー。仲良し家族じゃん。
いいなー。羨ましいー」

全部パピーとマミーから筒抜けじゃないすか…。
天然の遺伝子はそこから引き継いだのですね…。

「ガーディアンがあんたに肩入れをしている理由が何となく分かった気がする。あんたは十分に強いけど、実はめちゃくちゃ弱い。言ってる意味分かる?」

セカンドは頷く。

「すげー。
わたしは自分で言っててよく分かんなかったわ。
ま、結局はさ、素直なあんたでいいんだよ。
人を頼りな。思ったことは口にして、しっかりと伝える。拳じゃなくて言葉で相手と会話する。殴りたい時があったら…私に頼りな。代わりに殴ってやる。
もう…あんたに暴力は似合わないよ…」

よく分からないけど熱い展開なのは間違いない。
このままだと一気に勢力図が変わる…。
少なからずセカンドはバリカン信者寄りになることはほぼ確定した。
今までどっちつかずというか…
我関せずの貴重なセカンドが…。

「…ほら!もう泣くのやめ!Tシャツがビショ…」

堕ちたセカンドがチェルシーにギューっとする。

「……ハァ」

ため息をつきながらセカンドの背中をポンポンと叩くチェルシー。

ガーディアン。
多分セカンド、貴方のこと忘れてるよ…。

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