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ラッパー制裁編③

「ぐぅ…くるしっ…はな゛せょ…。ぅぅ」
武道が男職員の胸ぐらを思いきり両手で掴む…。

周りの職員達は驚いて呆気にとられている…。
なんせ、男が女に力負けしているのだ…。
しかもそれを止めるにも周りの男達は下手に手を出せないだろう。
このご時世、制止させるために手を出したことでセクハラ扱いを受ける可能性がある。
恐るべし武道。考えたな…。
いや考えてないだろうな…。武道だもん。


「ぅぅ、う゛!」

あ、やばい。なんか男の顔白くなってきた…。

と思ったと同時にドンッ!!!!

武道の身体が激しい衝突音とともに吹き飛ぶ。

「ハァ…ハァ…おま…ハァ…何やってんだよ…」

かなりの距離をダッシュして全力タックルをかましたのはチェルシーであった。

「職場で、ハァ…、手あげてんじゃ…ハァ、ねーぞ!」
いやお前が言うなよ…。しかも息切れしすぎだろ…。社畜興奮しちゃうだろ…ハァ…ハァ…。

「いやいや!暴力以上に最低な事を口にしたあいつが悪いよ!」
「そうですよ! ラッパーさんはそんな人じゃないです!」
吹っ飛ばされた武道に駆けつけながら、チェルシーに対して言葉の抵抗をするのは「マッシュ」と「カントリー」である。

「だ、だいじょぶ?武道?」
「武道さん? 『うっす』って言って下さいよ!」
2人とも非戦闘民族なので、このような状況に慣れていない…。半分パニック状態である。
しかし、どさくさに紛れて面白いことを言うカントリー。個人的にツボである。

「武道…。お前何したのか分かってんの?
ここは病院なんだよ! 病院!! 今回の件は絶対許されないと思えよ!」

チェルシーがいつになく荒い口調で口撃する。
そして捨て台詞をどうぞ…。

「『落ちこぼれ共』は落ちる所まで落ちたな」

「…………!!!!」
武道のスイッチON
ムクっと起き上がり、チェルシーに襲いかかろうとする。

「!? おい!だから!ここは病院なんだよ!」
と言いながらもファイティングポーズを取り、やる気満々なチェルシー。

ラッパー軍団VSバリカン信者
両チームの破壊神の戦いのゴングが今……

「はい!ストーーーップ!!」

鳴らなかった……。

▶︎続く
「ラッパー軍団の崩壊」

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