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ラッパー制裁編④

突然の乱入者に動きを止める2人。

「…!! ガーディアン!」
チェルシーは自分と武道の間に割って入ってきたガーディアンに驚く。

こんな光景、前にも見たような…。

「また喧嘩みたいなことをして…。チェルシー?大人なんだから少しは落ち着いてよ…」

バリカン信者の中でも特にお母さん気質のあるガーディアン。
チェルシーも言われて少し恥ずかしくなったのか、目線をガーディアンから外す。

「それとね、武道? あなたがやったことは立派な暴力なの。お金を盗んだ人と一緒で犯罪になりかねないんだからね?」

武道に対してキツい口調で注意するガーディアン。

「……いいんです、大丈夫です。…自分が悪かったっす。…ハァ…ハァ。すんませんでした」

危うく現世からサヨナラしそうになった男職員が謝る。意外にまともな思考の持ち主だったみたいだ。

「……本当に大丈夫なの? 武道、あなたも謝りなさい。何を言われたのか知らないけれど、あなた達の日頃の行いの悪さからして今回の件はフォローできないと思う。それは分かってね? さ、謝りなさい」

ガーディアンが謝罪の機会を設ける。
武道が誠意を見せることができれば、少しは今回の暴力沙汰のインパクトを薄くすることができる。上手く行けばお咎めなしかもしれない…。
さすがガーディアン。どちらにも優しい…。

さあ武道!どうする!?

「……?」

ダメだ……。意味を分かっていない……。

「武道さん…。とりあえず謝ればいいんですよ」
カントリーが武道へシンプルなアドバイスをするが、お前のその『とりあえず』っていうのも相当やばいぞ…。

「はぁ……。やっぱり難しいか…。よくここで仕事やっていけてるね…」
流石のガーディアンも呆れる。

が、その態度が気に食わなかったのか。
武道がガーディアンに向かって動き出す。

「え!?」

その場所にいた職員が全員声を漏らした。
まさかの非戦闘民族のガーディアンを標的にするとは誰も思わなかったからである。

チェルシーも油断していたのか初動が遅い。
ここぞと言う時に登場するセカンドも本日はお休み。
社畜はリョナも好きなので動く気なんて更々無い。

「……ヤメッ…!」
戦闘に慣れていないガーディアンは怯えながらその場で立ち尽くす。何とか顔を手で覆ってガードするのが精一杯といった感じだ。

ガーディアン絶体絶命のピンチ……

▶︎続く

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