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ラッパー制裁編⑨

「せんぱぁいぃぃ」
セカントリーのおふたりではないか…。
この2人よく一緒にご飯食べるなぁ…。
社畜は空気と同化しながら会話を聞く。

「……私はその事に関しては何も言えない」
カントリーのラッパー擁護コメントに関して無反応なセカンド。

「それに私はラッパーのことを過去に指導している。にも関わらず、勤務態度は一向に変わらない。
今回の件に関してはラッパー達にかなり非がある」

そうだ…。
セカンドは過去にラッパーに対し『詰めて』いる。本人はあくまで指導と言っているが…。

「そんな〜…。せんぱいはラッパーさんの悪いところしか見てないんですよ…。武道さんだって、ガーディアンさんのことビンタ………あ…」

あ…それは秘密のはずだろ…カンちゃん…。

「知ってるよ。ガーディアンから全部聞いた。
そこまで痛くなかったって言ってた」

何が『他言無用』だよガーディアン…。
しかもビンタの感想付きでセカンドに情報が渡ってるとは…

「武道のことは正直許せない。でもガーディアンが『許す』って言ってたから私は何もしない。期待は全くしてないけど武道が改心したら少しは見直してあげようかなとは思う」
社畜は『改心しない』に1票。

「改心…しますよ! 武道さんはラッパーさんの為に行動したんです! だから信じます!
せんぱいみたいに実は熱い人なんですもん!」

「…………」

セカンドが若干困った表情をする。

「……せんぱい? 顔赤くなってますよ?」

「……ぇ……あ…別にそんなこと…ない…」

ここまでセカンドの暖かい部分を引き出せる人間はいないと思う。大したもんだよカントリー…。

「………とにかく… 私はガーディアンが決めたことに対して何もする気はないから…。
悪いけどカントリーの力にはなれない。ラッパーが関わってるなら尚更…。」

「…………せんぱ〜い……」
残念がるカントリー。

「でも…」
でも? なんだ? カントリーに「私はTバック派なの」って暴露でもするのか!?

「でも私は今回の盗みの件、ラッパーが犯人とは思っていない。それだけは言える」
そう言いながら食堂を後にするセカンド。

「……なら味方してくれてもいいのに…」

残されたカントリーはボソッと愚痴を呟く。
だがその表情はどことなく嬉しそうだった。

▶︎続く
(次回 真犯人探し)

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