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ラッパー制裁編⑫

「リ、リーダーこれはその…」
突然のバリカンの乱入に慌てふためく「はざーど」
目には見えなくても声だけで分かる。
はざーどはかなり冷や汗を流しているのだろう。
そして腋から酸っぱい分泌物がタラタラ…。
考えるだけでも熱くなるぜ股間くん。

「ほんとは…お金盗まれてないの?」
バリカンも恐る恐る尋ねる。
そりゃそうだ。
まさか自分が可愛い後輩に騙されることになるとは夢にも思っていなかったのだから…。

「……リ、リーダー。私は職場のことを思って…」
はざーどの声が次第に震えていく。

「ほんとに申し訳ない!リーダー!私たちが皆の前で謝る! あまりにもやり方が汚かった!」
チェルシーが潔い発言をする…。
割とまともな思考の持ち主のようだ。

「…嫌! チェルシー!そんなことをしたらリーダーまで巻き込んで、職場がおかしくなっちゃう!せっかく、やっとリーダーが過ごしやすい環境を作れたと思ったのに! そんなの嫌ぁ!」
対して、ぶっ壊れてしまう「はざーど」
バリカン愛がかなりヤバい…。
付き合うと面倒なタイプになることは間違いない

「……はざーど…」
バリカンが悩んでいる。
さてどちらを尊重する…。

「駄目だって!こんなやり方じゃ、この先いずれ絶対ボロが出る! 謝るべきだ!」
過ちを素直に認め、謝る機会を設けたいと考える正統派チェルシー。

「ううん!今のままでいいんだから!
今のこの状況が1番仕事しやすいんだから!
だからこの事は忘れてください…リーダー…」
あくまで嘘を貫き通そうとする、落ちるところまで落ちてしまった「はざーど」

どちらを選ぶ…。

「はざーど。ありがとう。チェルシーさんも…。
ここだけの…3人だけの秘密にしよう?」
なんじゃそりゃ…。

「でもこのままの状況も良くないと思うから、
私が少し動くね…。はざーどのその気持ち、
嬉しい。ありがとう。
はざーどの考え、間違ってなんかないよ?」

これは…1番マズいやつじゃ…。
自作自演の事件をバリカンが黙認してしまった。
よってはざーどの計画が正当化されてしまった。
どう思うよ……。

せーり?

「元々あんな弱い人間ですよ。リーダーは…」
同じく盗み聞きしていたせーりが毒を吐いた。

▶︎続く
「次回 『バリカンの訂正』」

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