670

ラッパー制裁編⑭

「私は皆の人間性を疑う」

セカンドの登場は意外だった。
今回の件は静観していただけに、ここで一言物申すのはケツと同じくかなりインパクトがある。

なにより…
(お前にだけは人間性を疑われたくねーよ)

といった心の声の大合唱が職員達から聞こえる…

「あ…、でももう「はざーど」が謝ったから…」
バリカンがなにやらごちゃごちゃ言う。

「謝った? 謝ってないよね?
『すみません』って普通に言えないの?
いくら勘違いでもここまで話を大事にしておいて よく言えるね?」
セカンドは相変わらずの鋭い言葉をぶつける。

「面白半分でラッパー達を叩いてた皆も同じ。
謝りなよ。本人達が目の前いるんだから」
この圧力は彼女は副リーダーという役職のおかげであるものではない。元から備わっている天性のスキルなのだ。

「………ラッパー、ごめんな」
とある男職員がラッパーに向かって謝罪する。
それを皮切りに
「ごめんなさい…。ひどいこといっちゃった」
「すみませんでした! 今後気を付けます…」
「陰毛濃いけどそんなあなたが大好きです」
該当する職員が次々と謝罪をする。
ちなみに最後の一言は社畜の魂の叫びだ。

そして……
「…すまない。『今回の件』は私が悪かった!」
チェルシーが2人に頭を下げる。
自分の正義感との葛藤が苦しかったのだろう。
その申し訳なさそうな顔は本物であった。
しかし『今回の件』と強調しているあたり、そのプライドは中々曲げられないものだろう。
それだけラッパー達に手を焼いているのだ。
その証拠に…
「えへへー。いいんだよーみんな!分かればよしっ
!正直ウザかったけど、反省してるんなら良し!」
「うっす」

ラッパー達は『その時の気分』で物事を全て決める。普通この状況なら多少、相手を罵っても構わないと社畜は思う。
でも彼女らはそれを普通に許す。
予想外な行動が良い方向に向かえばよいが、その逆方向に物事が動いた場合は最悪だ。

「……」
そのあまりに軽すぎたリアクションに少しイラついたのか、チェルシーは頭を下げながらも拳をギュッと握っていた。社畜のあそこも握って下さい

「あのー、誰よりもラッパーさん達に謝らなければいけない人がいますよねー? 」
急に発言をする「せーり」。お前いたのか…。

「あれー? 誰よりも大きな声でラッパーさんのことを犯人と明言していたマッシュさーん?」
せーりの呼び出しにおどおどするマッシュ…。
いたのか…。図体でかいのに気づかなかった
せーりのマッシュへの長年の逆襲が今始まる…。

▶︎続く 残り2話

人気の記事