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セカンド覚醒編⑦ー1 「招かれざる客」

『ライセンス』の試験日までそう遠くないある日

社畜はこの日も医務室の壁越しに休憩室での会話を盗み聞きしていた。

「リーダー! いいです!いいですよ!!
合ってます!合ってます!!その調子です♩」

試験勉強に取り組むバリカンの赤○ン先生を務める「はざーど」の声がする。
決して頭が良くない上司を褒めて伸ばすという、面白い光景が壁1枚挟んで繰り広げられている。

「…うん! なんか前より出来ている気がする!
いつもありがとう!はざーど」

「…………はいっ!」

この2人の師弟コンビ(どちらが師匠なんだか)は見てて微笑ましい反面、少し臭う。物理的に。

ガラッ…。
休憩室の扉が開く音がする。

「ちょっとジュース買ってくるね」

バリカンが退室したのか…。
ということは残されたのは「はざーど」1人。

「…以前の模試より点数が低い…。
リーダー、本当に大丈夫なのかな…」

はざーどがボソッとつぶやく
『前より出来ている気がする』と感じたバリカンは一体どんな頭をしているのだろう。

「あの人、記憶力は本当に良いんだけど…。応用が全く出来てない…。しっかり言うべきかな…」

優しい嘘をつかれ、終いにはあの人扱いをされてしまうバリカン。
応用が出来ていないというのは社畜も納得。
でなければバリカン感染事件は起きていなかった

ガラッ!!
勢い良く扉が開く音がする。

「あっ、リーダー! 実は私、採点ミスをしてし」

?? どうした!はざーど!?

「え、あっ、副リーダー!?」

「……間違えた。チェルシーいるかと思った」

2人の新鮮なやり取りがスタートする…。

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