• 438名無しさん
    2023/01/19(木) 19:30:50 ID:xk7tYEhoi
    なあ、お前と飲むときはいつも白○屋だな。
    一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。
    俺が貧乏浪人生で、お前が月20万稼ぐフリーターだったとき、
    おごってもらったのが白木屋だったな。
    「俺は、毎晩こういうところで飲み歩いてるぜ。金が余ってしょーがねーから」
    お前はそういって笑ってたっけな。

    俺が大学出て入社して初任給22万だったとき、
    お前は月30万稼ぐんだって胸を張っていたよな。
    「毎晩残業で休みもないけど、金がすごいんだ」
    「バイトの後輩どもにこうして奢ってやって、言うこと聞かせるんだ」
    「社長の息子も、バイトまとめている俺に頭上がらないんだぜ」
    そういうことを目を輝かせて語っていたのも、白○屋だったな。

    あれから十年たって今、こうして、たまにお前と飲むときもやっぱり白○屋だ。
    ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのはお前と一緒のときだけだ。
    別に安い店が悪いというわけじゃないが、ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ。
    油の悪い、不衛生な料理は、毒を食っているような気がしてならない。
    なあ、別に女が居る店でなくたっていい。
    もう少し金を出せば、こんな残飯でなくって、本物の酒と食べ物を出す店を
    いくらでも知っているはずの年齢じゃないのか、俺たちは?
    でも、今のお前を見ると、
    お前がポケットから取り出すくしゃくしゃの千円札三枚を見ると、
    俺はどうしても「もっといい店行こうぜ」って言えなくなるんだ。
    お前が前のバイトクビになったの聞いたよ。お前が体壊したのも知ってたよ。
    新しく入ったバイト先で、一回りも歳の違う、20代の若いフリーターの中に混じって、
    使えない粗大ゴミ扱いされて、それでも必死に卑屈になってバイト続けているのもわかってる。
    だけど、もういいだろ。
    十年前と同じ白木屋で、十年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ。
    そんなのは、隣の席で浮かれているガキどもだけに許されるなぐさめなんだよ。

北海道

沖縄

人気の記事