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高田健志は待っていた。待っている間、することもないので美術品をこしらえた。待ち人は来ない。雨が降った。美術品が濡れてはいけないと城を建てた。待ち人はまだ来ない。彼は待ち続けた。気づくと手は皺だらけになっていた。そして、やがて彼は城の中で独り、灰になった。『ルーヴル美術館誕生秘話』

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平家の怨霊を恐れた芳一は全身に般若心経を写して身を守ることにした。日が暮れ始め、まもなく写経を終えようという所に高田健志が通りかかった。大の高田ファンだった芳一は彼にサインをせがんだ。彼はこれを快く引き受け、写経し忘れていた耳にサインをした。結果、芳一は耳を失わずに済んだ。

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