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「真性・社畜物語」⑧「ついに壊れるのです」

あまりの職員数の少なさに未経験先輩を乱発してしまう日々が続き、ついにその日は訪れる。

Xデー当日、未経験は⑦で登場した若い新人の研修担当をする予定だった。しかし朝礼の時点で様子がおかしいことが分かる。

「ハァハァ…、ヘェ~、ハァハァ…」

下品な息遣いが未経験から聞こえる。

「それじゃ…今日もよろしくお願いしまーす」

せーりの朝礼の締めの挨拶後、未経験の異変に気付いて声をかけた人物がいた。

「だ、大丈夫ですか? 身体辛いんですか?」

それは自分が担当する若い新人だった。
これが「せーり」や「セカンド」のような役職持ちで、少しでも頼れる先輩キャラだったら事件は起こっていなかったのかもしれない。
しかし実際に声をかけたのは、未経験からしたら決して弱音を吐いてはいけない相手。
責任感が強い彼女はこう答えた。

「だ、だいじょうグー!」

明らかに大丈夫じゃない上に、意味不明なギャグを織り交ぜてきた未経験。
後輩を不安にさせないための配慮なのだろうか…

「で、でもちょっとトイレ行こうかな…」

そう言いながらフェードアウトする未経験。
(過去の音声ファイルにて『また発作!?』と言っていたのはこのトイレの時に起きたものと思われる)

「未経験さん……」

心配そうに見つめる若い新人。
周りの職員もその異変には気づいていた。
しかし自分達のことで精一杯なので、見て見ぬふりをするしかなかった。

社畜もその1人だ。声を掛けたい気持ちもあったがあまり絡みがない、そもそもタイプではないので静観しか選択肢がなかった。
しかし過去のバリカンのようにスカトロデビューをする可能性もあったので、一応いつでも記録できるように準備はしていた。

だが、トイレから戻ってきた彼女はいつもの未経験に戻っていた。

「あ、お待たせ〜。それでは今日もよろしくお願いします!」

新人と職員室を後にする未経験。
まともな彼女を見たのはそれが最後であった。

そして>>193へ…。

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