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「真性・社畜物語」⑮「ここはどこなのです」

あ…おはよう…。

突然のお目覚めにびっくりしてとりあえずスマホをポイッとその場で投げ捨てる社畜。

「……ねぇ?ここどこ??」

起きて早々、いきなりタメ語かよ…。
まあ仕方ない…。あれだけパニックになったんだから。プライベート、つまりは素の未経験が多分これなんだろう。

「え?なにここ?どこ?あんた誰?なんで私寝てんの?皆は?皆はどこなの??」

うるせぇ…。いくら絡みが薄いからって「あんた誰?」は失礼すぎるだろう。あえて自己紹介させてもらうなら、つい数分前にお前の唇にむしゃぶりついていたHENTAIでござる。

「社畜ぅ!妹さん迎えに来るって…って起きてるー!! おはよー未経験ちゃん!」

スレンダーが戻ってきた。このめんどくさい女をとっとと妹に引き渡してくれ…。

「……なにあんた? 揃いも揃って知らない人ばかりなんだけど」

……おまえスレンダーにころ〇れるぞ。

「ん? 私のこと覚えてないのー? 未経験ちゃんがここに来た日から沢山お話したことあるよね?」

意外にしっかりとした対応をするスレンダー。
こういう患者さん、たまに入院してくるから慣れてるのかな…。

「………? あ!先生なの? 私のことやっと診てくれるんだね?やったー! 誰も相手にしてくれないから諦めかけてたのー! 嬉しい。早く治して!治して先生!」

これは怖い。なんだかやばい空気だぞこれ…。
あ、スレンダーも社畜と同じ気持ちなのだろうか。社畜に向けてアイコンタクトを送っている。
おそらく意味は……

(この娘、頭やられちゃってるよ)

「…先生みたいなものかな。とりあえず、私服に着替えなね? 汗かいて制服ビショビショでしょ?」

あ、それに少し社畜の唾液含まれてます。

「先生、逃げないでね! 」

そう言いながら更衣室に向かう未経験。
スレンダーはとんでもない女に目をつけられた…

妹ちゃんよ…早く回収しにきてくれ…

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