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>>235 続きです。

「さよならカントリー」④引き止め

「イタッ! 痛い痛いっ! せんぱい痛いですっ!」

「っるさい!! せーりに辞めること言いに行かなきゃいけないんだから! 早く! 行くよ!!」
社畜病院では退職する時に必ず自分の部署の上司にその旨を伝え、承諾を得なければならない。
「当たり前だろっ」と思う方もいると思いますがカントリーは別格です。そんなの知りません。
とはいえ、痛いっ!と壁の向こう側から聞こえる以上、セカンドが何かしらの暴力行為を働いているに違いないので社畜はスレンダーと共に事件現場に向かおうと……

あれ、スレンダーがいない。

よく見るともうすでに医務室のドアを開けて、現場に向かおうとしている…。行動が早い…。
しかしスレンダーだけだと更にトラブルになりそうな予感。社畜もすぐに後を追う。だがその時…

ガラッ!!

休憩室の扉が勢いよくオープン。
セカンドがカントリーの腕を掴んで、声をかける余裕もないくらいのスピードで退室する。

「…あ、スレンダーさ」
去り際、カントリーが助けを求めていたような声が聞こえていたような気がする。しかしもう遅い…。なぜなら「せーり」は職員室からそう遠くない位置で記録業務を行っていたからだ。

「あ、丁度良い。せーり?さっきの話なんだけど…」
セカンドが単刀直入に事を済まそうとする。
しかし「せーり」が事態をややこしくする。

「セカンドさん!それにカントリーさんも!私も話したかったんです!カントリーさんのさっきの話なんですけど…。あれ冗談ですよね?これ以上、人が少なくなっちゃうと困ってしまうので…。もし本当だとしてもセカンドさんが引き止める為に交渉してくれてるんだろうなぁって思ってました。……あれ?そういう話じゃなくて…?」

リーダーとなりプレッシャーに押しつぶされている「せーり」の顔は「社畜」そのものだった。
声のトーンは明るくても目が完璧に死んでいる。
そんな彼女に「こいつ辞めるんで」なんてことを言った途端、気が狂ってしまうかもしれない…。
そんな彼女も見てみたい気もするが…。

返答に躊躇するセカンド。少し気まずそうな顔をするカントリー。

「…ああ。そ、そうね〜。前向きに事は進んでる。ね?カントリー?」

セカンドが気を遣った。新たな成長だ。
しかしあまりにも不細工な嘘をつくセカンド。

「…えぇ!? せんぱいっ! 違っう゛ぅぅ」
反論したいのに言動がおかしいセカンド。
よく見るとセカンドに足を踏まれている。

「と、とりあえず皆にはそういう風に伝えておいて」
そう言いながらカントリーとその場を離れるセカンド。せーりは不思議そうな表情で見ている。

「あーあ。セカンド。らしくないことやっちゃったねぇ〜。昔だったら『そんなの関係ねぇ!』って切り捨てるように言ってたよね〜。現場のことを考えるようになってきたのは良いけど、相変わらず不器用だね〜」
お節介スレンダーがつぶやく。ふと小島よ○おのコスチュームでスレンダーが1発芸をしたら面白いだろうなぁと思ってしまった。

「なぁ…。その話、ちょっといい?」

なっ…。盗み聞きしていた社畜らの会話を盗み聞きされていただと!? 一体誰が…。

「ウチらもあいつに辞められると困るんだよな」

…チェルシー!!それにバリカン、はざーど!!
元バリカン信者、ここに集結…。

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