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セカンド覚醒編⑨ー2 「若年リーダー誕生」

「いやいや!!それこそ私はそんな器じゃ…」

せーりが一気に焦り出す。
今までのせーりの行動を見るとバリカンやセカンドの失脚を望んでおり、尚且つ職場内でのカオスを楽しんでいた「せーり」。まさかの自分がリーダーになるなんて夢にも思っていなかったのだろう…。しかもあまりよく思わないセカンドからの指名だ…。予想外だろうに…。

「皆はどう思う? 逆に反対意見があれば手をあげて教えて欲しい」

セカンド…。選出方法がラッパーとは対照的すぎる。この状況で手を上げる勇気は中々ない。しかも反対意見を言わなければならないのだ…。

「はい! 何で私なのですか…! まだまだ若造だし、リーダーなんてとんでもないです!」

「…しっかりみんなの事見てるから。せーりは…。職員一人ひとりに平等な態度で接して、労いの言葉もかけられる。人一倍、仕事して皆の辛さも分かってあげられる…。キャプテンという役職に就く前から…私はずっと『せーり』が上に立つ人間に相応しいと思ってた。せーりにならこの職場を上手くまとめることができる。うん…。」

「あ、え…。副リーダー…。あ…ぇ…ッスン…ゥゥ」

せーりが急に涙ぐむ。そりゃそうだ。今まで敵視していた相手が実は自分のことをリスペクトしていたのだから…。セカンドのカリスマ性はこういう時に発揮される。

「そうだよ! せーりさんがリーダーだ!」

モブ職員がセカンドに続く。そして続々と…

「そうよね! せーりさんとっても優しいし!」

「おう! いつも残業に残ってくれて俺たちの大変さ分かってくれてるし!」

「それに可愛らしいもん! 私より年下だけど、妹みたいなリーダーも超楽しそう〜」

お前ら…一応前任者のバリカンも同じ空間にいるんだぞ…。でもバリカンのなんとも言えない表情最高社畜股間絶好調也早漏。

「…みんな認めてるんだ。ほら…行ってきな」

セカンドがせーりの肩をポンッと叩く。

「…っ゛はい゛!」

顔がくしゃくしゃにしながらその場を後にする「せーり」

……これで一件落着。

「つまんな〜」

…!? 何だ今のどさくさに紛れたクレームは?
皆がお祝いムードの中、確かに聞こえたぞ??

せーり政権に早くも怪しい雲行きが…。

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