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>>394 続き

「さよならカントリー」⑳スピードアップ

コース終了……。
皆がその言葉聞いてキョトンとしている。

本来であれば思い出話をしながら充実したお別れ会となる予定だったが、各々が自由気ままに行動した結果、単なるそこらへんの飲み会と変わらない内容になってしまっていた。まぁ社畜病院らしいお粗末な展開である。

「あ、これプレゼント!身体壊さないように!」
「私からも! 家族の方、お大事にね!」

モブ職員たちが自前で用意したプレゼントを雑にカントリーへ渡していく。時間が迫っているにしてももう少し丁寧に渡せよ…。

「? あ、ありがとうございま…あ、そちらからも…。すみません…。どうも…」

ほら…カントリーもプレゼントに対してのお礼が全然追いついていない…。

「飲み会あっという間だったね〜。カントリーさんお疲れ様〜。また飲もうね〜」

心配…!!いたのか…。というか、『飲み会』ってはっきり言うなし…。まぁ事実そうだけど…。

着々とスピードアップしながらプレゼントタイムは終了。その間メインキャラ達との絡みもあった様な気がするが、社畜はグチャグチャになっているテーブルの上を片付けなければいけない役割なので、そんな話を聞いている場合じゃない…。一連の騒動で傷心状態の「はざーど」は勿論手伝ってくれる状況ではないので社畜の労働負担はかなり大きい…。もう帰りたい…。そんな中、汚れた皿に社畜が手を伸ばした時、別の手が触れた。

あ…バリカンの手…。少しドキッとしてしまう。

「手伝います。はざーどもこんなんだし。あと早く帰りたい」

はざーどがこんなんになったのは貴様のせいだぞ。でも早く帰りたいのは社畜も同感である。あわよくば貴様をお持ち帰りしてケツ穴開発に務めたい所存でございます。

…チャッ、カチャ、カチャカチャ……

手際よく皿やグラスをまとめるバリカン…。
リーダーになる前はこういう裏方っぽい仕事をそつなくこなしていた記憶がある。それが現場の長という役職についてからは責任という重荷のせいなのか、少しづつミスが目立つようになってしまい、保身に走るようになってしまった……。彼女を否定する職員はバリカンの昔の姿を知らない者が多い。かつてのバリカン信者達との差はそこなのだろうか…。バリカンについて性以外のことで考えるのは久しぶりだ…。ちょっと会話でもしてみようかな…。

今日のバリカンさん、一皮剥けててすごいカッコよかっ…

「はーい注目ー! みんな『アレ』出してー!」

チェルシーが大きな声で合図をする。
チッ…! いいところでいつも邪魔が入る…。
お前のその態度と反比例しているミニマムクリ○リスの皮ひん剥くぞ…。
そんな勇気は持ち合わせていないが…。

バリカンとの対話はお預け…。社畜はポケットに入った『アレ』を取り出す。
いよいよフィナーレだ。

店員さんの「はよ帰れや…」といった視線を感じる…

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