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「真性・社畜物語」③「要注意人物です」

「あとはね〜、んっーと…あ!これはリーダーから聞いた?」

さっきからマエノがベラベラと社畜病院の人間関係を話している。つい先程、バリカンが降格してしまったエピソードを語り終えたところだ。

「あ…えっと…はい。なるほど…はい…」

真面目な未経験は必死でメモをしている。
そんなことまでメモせんでええよ…。

「それとね?副リーダーには注意したほうがいいよ〜? あの人カッとなるとすぐ殴りかかってくるからね〜。その取り巻きも…。チェルシーやラッパーとか要注意だね〜。もし何か彼女らにされたら遠慮なくリーダーか私に言ってね?」

初日から不安な情報ばっかり叩き込むなよ…。
一体何がしたいのだマエノは…。

「他には〜」

「あ、マエノさんすみません!対応OKです!」

せーりが帰ってきた。良かった…。
未経験がマエノに汚されてましたよ……。

「さっすがリーダー! 助かりました!!」

そう言いながらフェードアウトするマエノ

「チッ…。ツマンナ…」

んん? マエノ、今去り際に何か言わなかったか…
何やら不穏なオーラが漂ってるぜマエノ…。


「あ、あの…リーダー? ちょっと良いですか?」

挨拶まわりを終え、職員室を戻る際に未経験が初めて自分から「せーり」に声をかけた。

「さっきのマエノさん?の話…。リーダーから見て、今後関わる時に気をつけなきゃいけない職員さんっていますか?」

ほらみろ。早速、未経験に悪影響が出始めたぞ…

「え? えーと…皆優しい人だよ? 中には話すのが怖いと思う人もいるけど根は優しいよ。だから安心して!それに何かあれば私に言って!相談乗るから! 」

せーりが皆から好かれる理由がよく分かる気がする……。ていうかちょっと前前任者の「かえで」と被るところが結構多い。被っている社畜が「せーり」の事にハマっているのはもしかしてそのせいか……。
※社畜は「かえで」に恋をしていました。

「あ、でも『バリカン』って人は偽善者だから、あまり関わらないほうがいいよ」

バリカンの立場がますます狭くなりました…



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