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>>121 の続き

「真性・社畜物語」④「話が違うのです」

「あ、え…今日はリーダーじゃないんですか…」

研修3日目位だろうか…。担当が「せーり」ではないというお知らせを受ける未経験。
それもそうだ。いくらお仕事大好き社畜人間の「せーり」でもしっかりと休日はある。おそらく、大好きな枝みたいに痩せた彼氏と仲良くデートでもしているのだろう…。デート中に時間停止させて、空気浣腸をせーりにプレゼントしてあげたい。ほんで観覧車の中にでも2人きりにさせて地獄の思い出デートをプロデュースしてやるのだ☆へけ


「そそ! よろしく〜!」

げっ…!チェルシー!
その声で妄想が一気に吹き飛んでしまった。
つい先日、マエノに変な入れ知恵を入れられた未経験からしたらチェルシーはただの暴力職員である。そんなのが研修担当と分かったらショックもデカいだろうに…。

「あ、……よ、宜しくお願いします」

ほら警戒してる……。まぁ、マエノの情報は100%間違ってるわけではないのだが…。

「じゃあ早速オフロのヘルパ……っ!!!」

チェルシーが話途中で何かに気づいた。
えっ…。
チェルシーが未経験の顔に向かって勢いよく手を伸ばしている…。
おまっ…出会って即5秒で顔パンですかぃ!!

「ヒッ!!」

未経験が声を挙げる。諦めろ。洗礼だと思え…。

「メガネ。風呂の時、曇るからな? ほら。曇止めシート。これやるよ。職員室にもあるからさ。患者さんの大事なところ見れないだろ?」

大事なところの意味はおそらくあそこのことではない。皮膚疾患とかそういうのに気づけないよということを言いたいのだろう。たまにチェルシーは日本語の使い方がおかしい時がある…。武道ほどではないが…。
にしても、顔パンフェイクからの曇止めシート献上というコンボは心臓に悪い…。

「あ、ありがとうございます…」

未経験は思いもよらない優しさに少し笑顔。
そして続けざまに…

「チェルシーさんって…優しいんですね…」

おそらく思ったことをそのまま言ったのだろう。
口癖の「あっ」が抜けていた。

「見かけの割には……って思ったでしょ?よく言われるよ。患者さんのためでもあるからね」

「あ、いやそういう意味じゃ…」

「ふふっ…分かってるっての。ほらいくよ!」

そう言いながら2人は風呂場へ消えていった。

チェルシー…。
前に比べて成長してるし、良い熟女になった…。
きっと未経験も聞いた話と大分違うなと思ったことだろう。…ん?チェルシーが何かを落とした。

…メモ?ふむふむ…。未経験の研修担当表だ。

明日の研修担当は……「セカンド」

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