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真性・社畜物語 「組織崩壊編」
⑱「VS ラッパー軍団」

更に「せーり」の悲劇は続く。
セカンドの支配下で大人しくしていたラッパー軍団が調子に乗り始めたのだ…。
「何かやらかすとキツいお灸を据えられるから何もやらかさないようにしよう」という子供みたいな考えをセカンドが軍団メンバーに拳で植え付けていたため、最近まではトラブルを起こすことなく平和な日常を過ごせてきた。
(彼女らがセカンドのことを本気でリスペクトしていたことも影響している)
そんなセカンドがいなくなってしまった今、ラッパー軍団達を制限する者はいない。そう、彼女らは自由を手に入れたのだ。

「気持ち悪いから帰りやーす」

二日酔いのラッパーが人数不足でひぃひぃ言っている現場を気にすることなく、早退。仲間のドラちゃんも

「仕事終わったら連絡するね〜、飲み行こ〜」

とラッパーのおばさんみたいな背中を普通に見送ってしまう始末。挙句の果てには仕事終わりにまた酒を飲もうと誘ってしまうのである。

一生懸命働いている現場の皆も「奴らに直接言っても仕方ない」と不満を我慢している。仕事に熱血なあのチェルシーですら、彼女らに喝を入れる元気もない。

「ねぇ…、あいつら好きにさせていいの? 私でよければ代わりに言うよ?」

バリカンが「せーり」を気遣うシーンも見える。最近、バリカンが妙に優しい。自分がリーダーだったときの苦労が分かるからだろうか…。何より、自らが苦手としていたラッパー軍団に注意をしようとする姿勢に感動。ぺったんこな胸もそれくらい成長すればいいのに…。

「いいんです。もうそういうのは放っておいて、頑張っている人達に寄り添ってあげればいいんです。お気遣いありがとうございました」

せーりは相変わらずの塩対応。バリカンも無言で去っていく。バリカンの今までの行いを考えれば、こんな対応をされても仕方ないが今回ばかりは同情できる。現に「せーり」は頑張っている人達に寄り添う余裕を今は持ち合わせていない。結果的に自分の仕事で精一杯で現場は放置状態なのである。
そして心身の限界を迎えた職員から徐々にフェードアウト、休みが続いたり最悪の場合は退職しかけてしまうこともあった。
そんなこともあり「せーり」の評価は日に日に下がっていった。彼女1人の責任ではないのだが、組織というものは誰かが責任を負わなければいけない。
よって人事の「せーり」見極め期間の結果は失格となり、副リーダーの配置が決定。因縁のバリカンがサポート役となってしまう。

一方、看護師チームはそんな地獄の現場を気にすることなく医務室でティータイム。

「それでさ〜、あの時の主任の痛みを我慢してる時の顔ときたら! 」

「普段クールにしているけど、痛みにかなり弱いタイプだよねあれ」

相変わらずクソの集まりであった。

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久しぶりの更新だが、ほとんど話は動かない!
残りのレス数からして果たして完結するのか…
次回「おかえりスレンダー」

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