• 120社畜
    2023/07/23(日) 14:21:15 ID:TXrMQhe6i
    「真性・社畜物語」②「挨拶まわりです」

    出勤初日はオリエンテーションから始まる。
    社畜病院の決まり事や精神論みたいなものを座学で叩き込まれる。とはいっても本日の担当は同世代の「せーり」なので未経験も気は楽だろう。
    一通り洗脳が済んだら、各部署へ挨拶回りをしなければならない。

    「あ、未経験と申します! あ、あの…始めてこういったお仕事に就きます! お願いします!」

    至る所でこの台詞が聞こえてくる。
    緊張しているのか声が震えており、微妙にボリュームも大きい。あまりコミュニケーション能力は高くなさそうに見える。この先が心配だ……。

    「可愛らしい新人さんだ〜。えらいえらい!
    その歳からヘルパーさんなんて将来有望だ〜」

    事務所の挨拶まわりで心配が未経験の頭をなでなでしながら可愛がる。

    「ヒャー!! 新人さんよろし…ぎゃー!!」

    パニックはドタバタ走り回りながら軽く会釈。

    「おお! よろしくな! 偉くなったら事務所勤務も夢じゃないぞ〜」

    マエノ旦那も歓迎する。今日の奥さんのパンティの色を社畜は知っている。情報共有は大事だ。

    「みんな口を揃えて『若いね〜』っていうけど、あれなんか嫌だよね〜。私たちも将来、あんな風になっちゃうのかなー。なんてね〜」

    挨拶を終え、同行している「せーり」が未経験に愚痴をこぼす。

    「あ、はい! そうですね…はい…」

    未経験は面白くない真面目な返事をする。

    「そう固くならないでよ〜。同い年なんだから!あれだったら2人きりの時はタメ口でもいいよ?」

    せーりが気を利かす。さすがリーダー!
    後ろからストーキングしている社畜も君の脱糞顔をイメージしながら固くなってきたよ。

    「あ、いや…失礼ですし、あの…その…」

    あたふたする未経験。とそこに…。

    「あ〜!いたいた! リーダー探しましたよ!ちょっとあっちでトラブルがあって…! 少し見てもらえますか? その間未経験さんは私が見てます!」

    突然現れた職員、せーりはその言葉に甘えて現場へと向かう。未経験は不安そうに見送る。

    「はぁ〜。とはいっても私が望んでるトラブルってそういうのじゃないんだけどな〜。前の職場でもここまで落ち着いてたことなんてなかったし、もう少し面白いこ…あ、ごめんね未経験さん?私の名前は」

    マエノ…。

    ※トラブルは単に患者さん同士の口論でした。
    せーりが間に入り、解決したみたいです。
    10 0

人気の記事