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「さよならカントリー」③焦るセカンド

「ふざけないで!!」

そんなセカンドの声が聞こえたらもう盗み聞くしかないだろう。スレンダーと一緒に壁の向こう側でどんな会話が繰り広げられているのか確認。

「…だって辞めたいんですもん。色々あって…」

カントリーだ。何かしょぼくれてる声量だ。

「色々って…。にしても、あんなタイミングで突然辞めるなんて言ったら皆驚くでしょ!? それぐらい分からないの!?」

珍しくセカンドが感情的だ…。まぁキレたら大体いつもこんな感じなのだが…。

「…だって1番手っ取り早くみんなに伝わるじゃないですか。一人一人に『私辞めます』なんて言ったところで反応に困るのはみんなだと思うし…」

「自分勝手すぎる!せめて理由くらいはしっかり言ってくれないと…。収拾つかなくなったらどうすんの!? もう遅いかもしれないけどさ…」

「…だって」

「だってだって」って聞いててイライラする!!
もしかして社畜は更年期なのか!!!

「…ふーん。セカンド、いつになく荒れてるね。まぁこの状況、ちょっとガーディアンの時と似てるからね。割と彼女、そういうのトラウマなのかもねー」

隣でwith盗み聞きしているスレンダーが呟く。
なるほど…。そういえば確かセカンドは過去に突然BOSSによりガーディアンの退職が発表されて抜け殻状態になったことがある。今回はそれと若干被るシチュエーションというわけか。被る…。股間が何かイライラしてきた…。アイムホーケイ

「……もういい。辞表は? 提出済なの? 色々と引き継ぎしないといけないからその準備を…」

「…私今日初めて『仕事辞めたい』って言えたんです。だからまだ…その…何も…」



「…え。もしかしてリーダーの『せーり』も私と同じタイミングで知った?ということはBOSSにも言ってないの?」

「…はいっ…///」

決して見えないけど壁の向こうでは絶対にカントリーは「てへへっ」というポーズをしているに違いない。

「ふざけないで!!」

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