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真性・社畜物語 「組織崩壊編」
⑫「服従」

「社畜さん? 知ってるんですよ?マエノさん(夫)に聞きました。『セカンドさんの異動の件については誰にも話していないし、社畜さんにもパソコンの設定は頼んでいない』って。誰もいない事務所で何をしていたんですか?」

くそ…。なんでそんなに問い詰めてくるんだよ…。いつものフワフワしてどっかに飛んでいってしまいそうな心配はどこに行ったんだ…。

「社畜さん? 個人情報漁ってましたよね? マエノさんが管理しているキャビネットの…」

……っ! こいつ!! 何で知ってるんだ…。
日頃優しくしてくれるから女神様と思っていたが、今日だけはデビルだ…。全てバレてる…。これは確実に終わった…。

「ねぇ?社畜さん?」

もうやめてくれ…。

「……なーんちゃってぇ〜。そんな今にも吐きそうな顔しないで下さいよ〜」

……?ど、どゆこと…。しかも口調がいつもの心配に戻ってる…。

「…ふふっ…。医務室でもいつもそんな感じだもんね」

セ、セカンドまで何か喋り始めた…!一体、何が起こっているんだ…。

「社畜さんもマエノさん(夫)のこと、探ってるんですよね〜?キャビネットまで開けるなんてすごい度胸〜!」

え?はぁ?心配よ…何の話をしているのだ…。

「あの時、私が事務所に来たらすでに探偵みたいなことしてたし〜。最初は社畜さんの話信じちゃったけど、それが違うと分かったら一気に勘づいちゃったんです〜」

「意外にやるね。普段の仕事もそれくらい意識してもらえると現場も有難いんだけどね」

うるせぇセカンド。
ただでさえ話が迷子だっていうのに、地味に社畜の愚痴言うんじゃないよ。

「ということでお互いに秘密はあるということで〜。セカンドさんの事は誰にも言わないで下さいね〜」

そう言いながら、支援室を後にしようとする心配とセカンド。

待て待て待て!よく分からないぞ!!
事務所責任者のマエノ(夫)が何をしたんだ!?教えてくれ!気になる!でもひとまずおかげで助かりました!ありがとうマエノ(夫)!!

2人が退室し、無事解放された社畜。しかし何とも後味の悪い話し合いだった。結局セカンドは金で心が動く保身クズだったという話でいいのか…。しかしなぜ心配はそんなセカンドの肩を持つようなことをしているのだろう。あの時の真夜中の事務所では「あの人苦手なの〜」って言っていたのに…。胸ぐらでも掴まれたのかな…。

いくら1人で想像しても解決しないことは分かっている。とぼとぼ歩いていると後ろから…

「社畜さ〜ん、さっきはすみませんでした〜!」

わっ!!ビックリした!心配だ。おまえステルス機能すごいな…。

「わたし、もうセカンドさん無理です〜。助けてくださ〜い!あの人には逆らえない〜」

…またややこしくなってきた

NEXT▶︎
情緒不安定な心配が再度接近。まさかの延長戦で心配のとんでもない事実が発覚する。そして明かされる「マエノ(夫)事件」…。
知らない間に現場以外でも着々と組織は崩壊していた…。
次回「セカンドの過剰な正義」


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