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セカンド覚醒編④ー1 「初対面」

「…そこやっといて。私あっちやっとくから…」
冷静な表情で指示を出す副リーダーのセカンド。
今日の現場を仕切るのは彼女だ。

以前より怖さは減ったものの、クールな対応は変わらない。無駄なことは喋らず淡々と物事をこなすセカンド。

「せんぱぁい! こっちOKですぅ!」
カントリーはいつもと変わらず元気いっぱい。
セカンドのことを皆「副リーダー」と呼んでいるのに、彼女だけは何がなんでも「せんぱい」で通す。過去にバリカンに「役職の意味わかる?」と注意されているのだが、直す気配がない。

「了解…。じゃあ次は…」
カントリーのペースに決して巻き込まれないセカンド。私語一切なしで指示を出す。

「…はーい!あ、 せんぱい!
昼休憩、一緒にご飯食べましょ? 約束〜!」
カントリーはウキウキしながら指示されたフロアへ向かう。そのフロアは交渉用の御手洗がある。
あとでカントリーに交渉でもするかな…。

「へぇー。まともな人もいるんだねー。ここ」
うわっ…。マエノがきた…。

「副リーダーのことですか?
仕事はできる人ですよ。性格はちょっと…」
しかも今日のマエノの担当は「せーり」ときた。
社畜of社畜のせーり。サービス残業LOVE。

「いいんだよー。そういうので。前の職場でも、性格やばいけどホイホイ仕事こなす人たくさんいたしー。そっちのほうが全然捗るよー」
そんな前の職場が恋しいのなら帰ればいいやん…

「でも副リーダーはマエノさんが思ってるほど、完璧な人じゃないですよ? ほら」

せーりが指を指す方向にはチェルシーがいた。

「副リーダー?
もうこっち終わるけどそっち手伝う?」
チェルシーの声に反応するセカンド

「え、ほんと? 早いね!うん、ちょっと人手が足りなくて…。でも無理してない?大丈夫?」
急に口調が柔らかくなり、多弁なセカンド。
チェルシーに心開きすぎだろ…。
その対応を他のみんなにもしてあげたら、
君は即リーダーに昇格出来ると思うぞ…。

「あー。はいはい。理解しましたー。あれじゃ、ダメだね。前の職場だったら干されてる。
役職持ちなら尚更。全然皮むけてないねー」

おいマエノ。最後の一言余計だぞ。
社畜の被ってるブツをケツ穴にねじ込むぞ…。

「チェルシー?あの人…」
セカンドがマエノの存在に気づいた。
そう…セカンドとマエノは初対面である。

交わってはいけない2人が出会ってしまう…

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