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セカンド覚醒編 ③ 「ブレるバリカン」

ィ…ブリィ…ブリュ…ビビィ!!

肉付きの排泄音を1枚壁越しで楽しむ社畜。
至福の時である。
肉付きは必ず15時位になると(大)をする。
このルーティンはもう何年も続いている。

そんな壁越しのお話は休憩室にも通じる。
社畜の本拠地である医務室と休憩室は隣通し。
よって壁に耳をくっつければ大体の会話は聞こえてくる仕様だ…。聞こえる…。バリカンの声が…

「…みんな巻き込んじゃったけど、これで良かったのかな…」

自信なさそうにバリカンが誰かに相談をする。
いや、自分でやっておいてなんやねんその後悔。

「リーダー、大丈夫ですよ! 皆、資格を持つことで仕事に対する姿勢も絶対変わります!
逆に取得できなかった人達はこれを機に大人しくなりますよ! 大体のメンバーは検討つきますけど…」

ラッパーに謝れ!はざーど!

はざーど。彼女は根っからのバリカン信者だ。
現に自分勝手な判断に後悔している芯がブレブレのバリカンを無理矢理正当化している。

「そうだよね…。ありがとう。でもすごいよね。『はざーど』はもう『ライセンス』持ってるんでしょ? 羨ましい…」

その道の専門の大学を卒業すればおまけでついてくる『ライセンス』。
はざーどの他に、せーりも自動で取得している。

「い、いえ、そんな大したものではないです…
リーダーならばすぐに取得できますよ!
よ、よければ私が勉強…教えましょうか…?」

声で分かる。
はざーど、めちゃくちゃ嬉しそうやん。
なんか腋からムンムン何かを出してそう…。

「え…いいの? 嬉しい! でも、あのさ…?」

バリカンが何か要求したそうな口ぶりである。

「…分かってますよぉ!
皆の前では勉強の事は一切口にはしませんよ!」

あくまでも自分の力で『ライセンス』を取得したという事実を残したいバリカン。
プライド高すぎだろ。カリン塔並だろ。
ケツ穴に仙豆詰め込むぞおっすオラ社畜。

ということで「はざーど」先生による秘密特訓がスタートすることとなった。

社畜は聞き逃さなかった。
はざーどが休憩室から出た後に
「ふぅー。換気、換気ー」と窓を開けていたバリカンの独り言を…。

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