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事件は医務室で起きてるんだ⑦

「陰性。ひとまずは大丈夫かな。震えも落ち着いて来たし、熱は……7.4度。まぁまぁだね…。かかりつけのところある?」

スレンダーが淡々と喋っている横で、バリカンが心配そうな目ではざーどを見つめている。
そして何かを決心したように口を開く。

「社蓄さん…、私あの時逃げてすみませんでした。
もし犯人が危ない人だったら逆上させているところでした。そして何よりはざーどの事、仲間の事を何も考えてあげることができませんでした。申し訳ないと思っています。これからはリーダーとしてもっとみんなの頼りになれる存在になりたいです」

うん……。なればいいじゃない…。
すまないけれど、今社蓄はスレンダーのパン線を見学しているところなので…。

そして夜勤は終了。
体調不良のはざーどは一足先に上がり、日勤職員との引き継ぎを行う。

「………ええっ!!やばくないすかそれ!」
ラッパー達が昨夜の騒動を聞いて驚愕する。
ラッパーが夜勤だったら更にカオスな展開になってたいたんだろうな……。

さぁ上がるか…と思いながらふと勤務室に目をやると、そこには日勤職員に紛れながら書類整理をしている「せーり」がいた。

「あのぉ、せーりさーん?」
社蓄は自然と声をかけてしまっていた。

「あ、お疲れ様です。えーっとですね、昨晩のことで全く書類業務が終わってないのでこれからやるところです♩」
そう言いながらもせーりの目は死んでいる。

彼女こそ社蓄of社蓄である。

せーりには申し訳ないが、社蓄は病院を後にする。

HENTAIおじさんは色んなところにいるんだなぁ。

帰路の途中、今回の事件について振り返るとある事に気がついた。

『2人揃ってベランダで何してんだろうと…なんかわちゃわちゃしてたから…。荷物でも運んでるのかなぁって思ってました』

せーりが見た人影がまだ不審者ではなくて、社蓄とスレンダーだと勘違いしていたことがわかった時の一言

『2人揃って……』 不審者は1人…。

『あと、 私『みえる』人なので『そっち』なのかなぁって思ってました』

一体、何がみえていたのだ。せーり……。

〜完〜

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