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ラッパー制裁編⑬
「まぁ、こうなるとは思ってました。
あの人は物事をハッキリと決められない人なので」
せーりが社畜に向かって話す。
社畜はこんな重い事件の真実をひとりで受け止めるキャパシティを持ち合わせていない。
なのでせーりをPHSで呼んでおいたのだ。
社畜と同じく社畜のせーりは意外に気が合う。
「でも今回ばかりはやっちゃいましたね〜。
あの人にリーダーの資格なんてないですよ。
BOSSに言っちゃおうかな〜。なんてね」
せーりが嬉しそうに語る。お前も歪んでるな…。
そんな話をしているうちにバリカン達の密会は終了
このバリカンの選択が今後のストーリーに大きく影響することになる…。
翌日、朝礼にてバリカンが事件について語り出す
「この間起きたことなんだけど…。皆に報告が…
サイフからお金が抜かれてたって話だったんだけど、よく確認したら盗まれてなかったんだって…。要は見間違いってこと…。だから皆、騒がしくしてごめんね…。以上…」
なんだその訂正。ザワつく職員達。
「私のせいです! 私が間違えたんです!
なのでリーダーは何も悪くありません!
はざーどがリーダーの横でフォローをする。
「…はざーどさんなら仕方ないか…」
「仕事で疲れてたんだね…うん」
不思議にもそれを信じてしまう職員たち。
打ち合わせ通りといったところなのだろう。
リーダーのバリカンが「はざーど」と目で合図をし合っていることが分かる。
「だ、だからもう犯人とかそんなのい、いないんだよねー。よ、よかったー!」
チェルシー、この女は役者に向いていない…。
「………チッ!」
誰かの舌打ちが職員室に鳴り響く。
もちろんラッパーだ。
今回の事件の1番の被害者である。
バリカン一味を往復ビンタしてもお釣りが出る位、彼女は傷ついている。
一気に不穏な空気になる。
ラッパーを犯人扱いした職員たちは
特に居心地が悪いことだろう…。
しかし誰1人ラッパーに対して謝罪しようという意思が感じられない。
「謝りなよ」
この声…こんな気まずい空気を吹き飛ばせるのは
彼女しかいない。
「皆ラッパー達に謝りな。
ここで謝らなければ、私は皆の人間性を疑う」
セカンド先輩登場
▶︎あとほんのちょっとだけ続く
「次回 さようならマッシュ」
「リ、リーダーこれはその…」
突然のバリカンの乱入に慌てふためく「はざーど」
目には見えなくても声だけで分かる。
はざーどはかなり冷や汗を流しているのだろう。
そして腋から酸っぱい分泌物がタラタラ…。
考えるだけでも熱くなるぜ股間くん。
「ほんとは…お金盗まれてないの?」
バリカンも恐る恐る尋ねる。
そりゃそうだ。
まさか自分が可愛い後輩に騙されることになるとは夢にも思っていなかったのだから…。
「……リ、リーダー。私は職場のことを思って…」
はざーどの声が次第に震えていく。
「ほんとに申し訳ない!リーダー!私たちが皆の前で謝る! あまりにもやり方が汚かった!」
チェルシーが潔い発言をする…。
割とまともな思考の持ち主のようだ。
「…嫌! チェルシー!そんなことをしたらリーダーまで巻き込んで、職場がおかしくなっちゃう!せっかく、やっとリーダーが過ごしやすい環境を作れたと思ったのに! そんなの嫌ぁ!」
対して、ぶっ壊れてしまう「はざーど」
バリカン愛がかなりヤバい…。
付き合うと面倒なタイプになることは間違いない
「……はざーど…」
バリカンが悩んでいる。
さてどちらを尊重する…。
「駄目だって!こんなやり方じゃ、この先いずれ絶対ボロが出る! 謝るべきだ!」
過ちを素直に認め、謝る機会を設けたいと考える正統派チェルシー。
「ううん!今のままでいいんだから!
今のこの状況が1番仕事しやすいんだから!
だからこの事は忘れてください…リーダー…」
あくまで嘘を貫き通そうとする、落ちるところまで落ちてしまった「はざーど」
どちらを選ぶ…。
「はざーど。ありがとう。チェルシーさんも…。
ここだけの…3人だけの秘密にしよう?」
なんじゃそりゃ…。
「でもこのままの状況も良くないと思うから、
私が少し動くね…。はざーどのその気持ち、
嬉しい。ありがとう。
はざーどの考え、間違ってなんかないよ?」
これは…1番マズいやつじゃ…。
自作自演の事件をバリカンが黙認してしまった。
よってはざーどの計画が正当化されてしまった。
どう思うよ……。
せーり?
「元々あんな弱い人間ですよ。リーダーは…」
同じく盗み聞きしていたせーりが毒を吐いた。
▶︎続く
「次回 『バリカンの訂正』」