808

セカンド覚醒編④ー2 「握られた拳」

「あ、副リーダー! お疲れ様です!
こちらはこの前入職したマエノさんでーす!」

せーりがセカンドにマエノの紹介をする。

「どーもー。よろしくねー。副リーダーさん」

初対面なのに口の利き方がなっていないマエノ。

「…うん。よろしく」

セカンドが敬語を使わないのは今に始まった事ではない。通常運転だ。そして相変わらず無愛想。

「ところでさ?副リーダーさん?
あなたの役割ってどんなことをするの?
前の職場にはそんな役割なんてなかったから。
気になっちゃってねー」

出ました。マエノ節「前の〜」

「…特に何も無い。リーダーが困ってたら助けてあげるってくらいかな」

正直に答えるセカンド。その通りである。
社畜病院での役職は「リーダー」だけで十分成立する。
実際にひと昔前の体制では「かえで」1人で何とかやっていた。今の体制が異例なのだ。

「ふーん。さそがしリーダーはお守りが必要なんだねー。まぁでもこの前研修についてもらった時に薄々そんな感じの娘なんだろなって思ったー」

言いたい放題言うマエノ。
でも的を得ている。社畜もうんざりしている…。

「おい…今なんて言った?」

バリカン信者のチェルシーがセカンドの後ろの方からノシノシと近づいてくる。
胸もタプタプ揺れている。

この後、口喧嘩じゃ済まなくなる可能性が高い

そう察知したのかセカンドは自然とチェルシーの動線上に立ち塞がる。
歴戦の猛者は状況判断がとにかく早い。

「なにー?こわー!誰あの野蛮な人ー?」

わざとらしくせーりに抱きつきながら煽るマエノ

「あー、あれはチェルシーさんです。
正義感がとても強い人です。真面目系です」

解説する「せーり」。ポケ○ン図鑑かお前は…。

「ふーん。何か『正義』っていうのを勘違いしてそうなタイプだね。怖いし、人望薄そう」

「…ッ!」

マエノのその一言に咄嗟に動き出そうとするセカンド。今度はチェルシーがさりげなくセカンドの手首を掴む。その手には拳が握られていた。

人気の記事