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ラッパー制裁編⑦

少々呼吸が荒いラッパーは周りを見渡す……。
勿論、皆目をそらす。

「…チッ! 社畜?ウチじゃないからね?」
隣にいるラッパーがこちらを向いて言う。

誰が愛している人を疑うものですか……。
当たり前です。信じます。
そもそも読んだ後の彼女のリアクションは
『やっていない』人のものだった。

「ありがと社畜…。くそっ…。みんな!ウチはやってないからね!本当に!ほんと!!」

単純なラッパーらしく、冤罪の主張を大声でアピールする。
周りの職員はそれでも知らんぷりである。

「無駄だよ。だってどう考えてもあんたじゃん」

その声はマッシュ……。
おまえ仲間のハズでは…。

「んなわけないでしょ! なんの真似!?」
ラッパーがさらに取り乱す。
パンティの中から陰毛むしり取ったら更に取り乱しちゃうのかな…。

「○月✕日、お金を抜かれたのは『はざーど』でその日の勤務は夜勤だった。夜勤は3人勤務でしょ?あとの2人は『せーり』と『あんた』」

マッシュが探偵のようにベラベラ喋り出す。

「……だから? なんで犯人がウチなの?」
その意見ごもっともだよ、ラッパー。

「この話ね、せーりから聞いたの。本当は役職者しか知らされていない内容らしいんだけど、私が問い詰めたら教えてくれたの。キャプテンであるせーりが人の財布を覗くわけないもんねぇ? それに個人的な見解だけど、せーりにそんな度胸はない。よって貧乏人のあんたが怪しいってわけ」

強引な考察だ…。
まあラッパーに偏見がある連中からすれば、十分な証拠材料であろう。
それにせーりはマッシュに対してはかなり弱い。昔バンドを一緒にやっていた時にプレッシャーをかけられ精神的に支配されているからである…。
うーむ……闇が深い。

「…そんなのでウチが犯人だと思ってるの?」
ラッパーがマッシュを含む周りの職員に問う。

「……」
皆何も言わない。

「……。くっだらな。とにかくウチは絶対やってないから!!」

震えた声を出しながらラッパーがその場を去る。
……涙目だった。
(もちろん早退です。新記録樹立しました)

というかマッシュ…おまえラッパー軍団ではなかったのか…。一体何が…。

▶︎続く
(次回 ラッパーについて語ります)

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