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ラッパー制裁編②

さらに数日後…… 職員室 朝礼にて…
「……今日の予定はこんな感じ。あ、あと1つちょっと皆に伝えたいことが…」

いつもならリーダーのバリカンが朝礼のフィニッシュとして「今日も1日ご安全に!」チックな言葉を放つのだが、まだ何かあるようだ……。

「○月✕日、とある職員の休憩室に置いてある財布からお金が抜かれることがありました。その職員の意向で警察に届け出ることはしません。皆、貴重品管理は各自自己責任でお願いします。悪いのはお金を抜いた人です。しかも確実に職員の仕業です。でもこれ以上、風紀を乱さないためにも自分の身は自分で守らないといけないです。本当の本当に悪いのは盗んだ職員です。もし、心当たりのある人は私までお願いします。以上」


前代未聞の事件が発生した……。
周りの職員もザワつく……。
平和な社畜病院での窃盗事件。
しかも犯人は同じ屋根の下で共に働く職員…。

朝礼終了後、皆がすることは決まっている。

「○月✕日って誰いたっけ?」
「あー、俺その日休みだわ。無罪確定」
「私出勤してたけど…… 職員の○○さんとずっと一緒だったから。本当に」

シフト表のチェック=犯人探しである

そもそも被害者でもない職員等が犯人探しをすること自体、クールではない。
真のクールかつHENTAIは同僚から窃盗をしてしまうくらい追い詰められている心境の職員(女性に限る)がいることに興奮してしまうのである。
職場が職場なだけにそんなゲスなことをする職員のクソを嗅いでみたいものだ。
そしてそのキング・オブ・クソを真面目な職員に食べさせてあげたい…。
社畜の妄想は止まらない…。


「俺思ったんだけど、ラッパーじゃね?犯人」


「俺よくあいつが金に困ってる話聞くんだよね」
「あー、しかもよく休憩室で『キモチワル~』って休んでるよね…。あれ嘘なのかな…」
「いや、酒臭いから本当なんだろうけどちょっと怪しまれるのも無理ないよね。夜遊びするにもお金は必要だしね…。まぁ身体とか売……っぁ!」

男職員が苦しそうな声を挙げる。

当然だ。社畜の愛するラッパーを侮辱したのだ。
それなりに罪は償ってもらうぞ…。と思うだけの社畜は実は何もしていない。
そう。実際にアクションを起こしたのは…


「ぶ、ぶど ぅぅぅ……ぁ゛ぁ゛!」

▶︎続く
「次回 ラッパー軍団の団結」











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