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>>813 続きどす…

セカンド覚醒編⑤「はざーど先生」

医務室の隣の休憩室は休憩以外でも使用できる。例えばこんな時…。

「…なるほど。そういうこと…。」
バリカンが感心したようなトーンで呟く。

社畜は医務室から盗み聞きしている。
なんとなくお隣の様子が脳内イメージで形成されていく。恐らく全裸でライセンスの勉強でもしてるのかな…。

「さすがですリーダー!
…ちょっと暑くなってきましたね。
リーダーはジャージ脱がなくて大丈夫ですか?」
この声は「はざーど」!
なんだ全裸じゃないのか…。
というか「はざーど」と密室って、いざ考えてみると中々の拷問だ…。バリカンは辛抱強い。

「うん…冷え性だから。
それはさておき、次の問題のこれ!どう?? 合ってる? この前間違えちゃったけど今回は自信ある!」
冷え性…。
三十路への扉が着々と開かれようとしているバリカン。それに負けず勉強に熱心である。

「あ、はい! 合ってます合ってますさすがです!!」
褒めちぎる「はざーど」
でも何かおかしい…。若干棒読みに聞こえる…

「やった〜。ちょっとトイレ行ってくるね」
中座するバリカン。
このまま陰毛交渉をしたいところだがバリカン達、役職者が使用するトイレは交渉不可能な事務所トイレである。何とか良い手はないものか…。
…ん? 何か聞こえる…。

「……あんな自信満々に『合ってる?』なんて言われたら…ハァ…。」
…?? どういう独り言だ「はざーど」よ…。

「…前回と同じ間違いしてる…。
リーダー、大丈夫かな…。疲れてるのかな…」
なるほど…。嘘が上手だな「はざーと」よ…。
しかしラッパー事件の嘘は許せない…。

「はざーど…、何も別にこっそりリーダーの答えを書き直さなくてもいーんじゃないの?」

「っ! チェルシー! 勝手に入ってこないでよ!
リーダーに勉強教えてるんだから!!」
びっくりした…。チェルシーも来たのか…。
声だけだとなんとも気配が感じづらい…。
それに「はざーど」のバリカンに対する優しさは少し度を超えている気がする…。
そしてなによりチェルシーへの敵対心が剥き出しで恐ろしい。「剥く」という言葉も恐ろしい。
I’m hokei

「はぁ…りょ〜かい。いい加減機嫌直せって…」
チェルシーの落ち込んだ声が聞こえる…。

「…裏切りもの…」

チェルシーに聞こえるか聞こえないかのトーンで、はざーどの心の声が漏れた。

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