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新井瑞希は22歳。入社二年目の後輩。
俺、雅也は42歳。既婚の中年おじさんで、瑞希にとっては完全に眼中にない存在だった。

今日、瑞希の誕生日だった。

昼休みに俺は駅前のケーキ屋で初めて見るタイプのいちごタルトを買ってきた。
パイ生地とスポンジの上に真っ赤ないちごが並び、その全体を覆う透明なゼリーがキラキラと輝いている。クリームは一切使っていない。

会社が終わった後、俺は瑞希を誘った。

「瑞希、今日は誕生日だろ? ちょっと近くの居酒屋で飯でもどうだ? おごるよ」

瑞希は一瞬面倒そうな顔をしたが、表面上はニコッと笑って答えた。

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