229

「さよならカントリー」②キレるセカンド

医務室の扉を開けるとそこにはジャム入りの瓶を持って待ち構えているスレンダーがいた…。

「ねぇ? ほんとにこれキツいのよ〜。んっー!」

目の前で顔を真っ赤にしながら頑張って開封チャレンジに挑むスレンダー。

「……ハァハァ、ゲェプ…。ハァハァ…」

ダメだったらしい…。てか今どさくさに紛れて、ゲップしなかったか!? いつも思うのだが医務室の中で社畜はもう男として認知されていない気がする…。それこそ肉付きは息を吐くようにゲップをする…。女子高ではゲップは当たり前、屁だって普通にするって友達が言ってたぞ…。まさかそこまで堕ちてしまったとは…。残念だ。でも股間が元気になったのも事実だ。あわよくば放屁音を聞きたかった…。

「はい、男なら!ってところみせて社畜ぅ〜」

こんなときだけ男扱いかよ…。仕方ない…。
スプーンを拝借。ほんで、えっこらえっこらとテコの原理で蓋の隙間を空けていく。密閉空間を少しずつ解除しているのだ。よし…もういいか……
ほれっ。

「あ、開いた。でも全然迫力ないんだけど…」

瓶をそのまま顔面に投げつけるぞスレンダー…。
社畜はHENTAIなこと以外には無駄な労力は使わないスタイルなのである。

「あー、やっとこれで朝ごはん食べれる〜。ギリギリで来ちゃったからね〜」

そう言いながら冷蔵庫の中から食パンを取り出すスレンダー。普段患者さんのクスリとか入れるところに朝飯置くなよな…。
そんな小言を心の中でつぶやく社畜はスレンダーが冷蔵庫を覗いている間にスプーンをべちゃべちゃに舐める。社畜の体液もパンに塗ってあげてください…。

「ところでさ? 何? さっきのカントリーちゃんの大声。ここにいても聞こえてきたよ。なんか『辞めるー』って言ってなかった?」

聞こえてたのかよ…。なら話は早い。一緒に盗み聞きといこうじゃないか…。
スレンダー!こっちの壁から聞こえるぞいっ!
社畜が誘導しようとしたその時…

「ふざけないで!!」

セカンドの怒声が医務室に響いた。

「うぇ…びっふりしひゃなーもぉー」

なんだその声…イチモツでも突っ込まれてるのか?と後ろを振り返ると、先程のスプーンを咥えているスレンダーがいた…。
間接的に社畜の唾液を味わっているようだ…。
それにしてもスレンダーよ…。

スレンダーはそのスプーンを口から出して、瓶の中のジャムをすくう。

育ち悪すぎだろ…。
串カツ屋だったら殺されるぞ…。

人気の記事