そのやり取りの中でこんなことを言われた。

「あなたはそのままでいい」それを上辺かもしれないが、人様に言われたことなど一度もなかった。

捕まった以上、誰に言われなくても背負い込むものがある。

ごくごく少数の人に打ち明けても、性犯罪は悪いことで、やったことや"認知の歪み"は治さなければならない悪いものだと。

自分を含めて誰一人、受け止めるということをしなかった。ましてや「そのままでいい」など思いもしなかった。

男には少なからず支配欲はある。とも言われたが同時に「ストレスを性欲で解消すると相手が不幸になる」とも言われた。

そして、最後には「カウンセリングとかクリニックに行ったって意味ないよ。自分が決断しないと何しても意味ない。」とも言われたとき、

優等生ヅラした自分が "これ以上社会に迷惑をかけないように" だとか "被害者を増やさない" だとか真面目ぶった答えをして、誰に表明するでもない「ちゃんとやってます感」を出すためのパフォーマンスをしていたことを思い出していた。

それから程なくもう一つの転機が訪れた。

入社以来気になっていた女性とのお付き合いだった。